7月、新潟県の「佐渡島の金山(さどのきんざん)」が世界文化遺産として登録されることが決まりました。これによって日本の世界遺産登録件数は26件に。世界遺産に登録されるメリットとデメリットとは? この先どうなるのかまで含めて、世界遺産とはどういうものかを、ジャーナリストの一色清さんに解説してもらいました。「AERA with Kids 2024年秋号」(朝日新聞出版)から紹介します。

MENU 世界遺産ってどういうものなの? 世界遺産になると何がいいの? 日本の世界遺産はこの先も増えていくの?

世界遺産ってどういうものなの?

 世界遺産は、1972年にユネスコ(国連教育科学文化機関)で採択された「世界遺産条約(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)」に基づいて認定・登録されています。

 その目的は「価値のある自然や文化を全人類の遺産として保護しよう」というもの。「世界遺産条約」を締結した国は現在195カ国にのぼり、日本も92年に条約を締結しました。

 世界遺産の対象となるのは「有形の不動産」で、移動できない建物や自然などに限られます。建物や遺跡などは「文化遺産」、自然・地域などは「自然遺産」、両方の要素があるものは「複合遺産」とされます。2024年7月現在、世界には文化遺産が952件、自然遺産が231件、複合遺産が40件あります。

 世界遺産に登録されるには、国内での審議、国際機関での厳しい調査と審査、世界遺産委員会での決定と、いくつもの関門を通らなければなりません。

 日本では93年に「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良県)と「姫路城」(兵庫県)が文化遺産、「白神山地」(青森県・秋田県)と「屋久島」(鹿児島県)が自然遺産として登録され、現在は「佐渡島の金山」を含め文化遺産21件、自然遺産5件の計26件の世界遺産があります。

世界遺産になると何がいいの?

 世界遺産に登録されるいちばんのメリットは、後世に残していく遺産として国が積極的に保護してくれることです。大切な自然や文化が、開発目的などで壊されることなく、きちんと保護されていくようになります。

 保護のための費用を国が出してくれたり、道路整備などを進めてくれたりすることで、地域の人の生活にもプラス面が生まれたりします。たとえば岐阜県の白川郷が「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として95年に世界遺産登録された際は、観光客の増加に備えて、高速道路に白川郷インターチェンジが新しく造られ、地元の人たちの交通の便がよくなりました。

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一色清
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