次に地面の蹴り方です。脚全体を前から後ろに振り戻し、母指球の部分でしっかり地面を蹴ること。そのため、靴は指の付け根あたりで曲がる弾力があるものがいいと思います。足が速い人はこの2点ができています。
しかし、これを口頭で説明してもすぐにうまくはできません。だから私は、特にスキップと競歩に取り組むことを提案しています。図は私が作ったドリル(『スポーツができる子になる方法』から)ですが、このように、脚を前に出す感覚は「スキップ」のドリル、地面を蹴る感覚は「競歩」のドリルを行うことでそれぞれつかむことができます。この練習で感覚をつかんだら実際に走ってみる、うまくできなかったらまたドリルに戻る、を繰り返すといいでしょう。
保護者が運動会前に子どもと一緒に練習するのも効果的
――小学校低学年の子など、なかなか理解が難しい場合はどうしたらよいでしょう。
もしコツのつかみ方が難しいようだったら、まずお父さん、お母さんがやってみせることが重要ですね。子どもより先に練習しましょう(笑)! そして「競走しよう」と声を掛けてあげれば、子どもは楽しくなって、一生懸命練習しますよ。
ここで気をつけていただきたいのは、できるようになるまで付き合うこと。すぐにできるようになる子もいれば、1週間、2週間かかる子もいます。自転車と同じで、一度できるようになるとずっとできるのですが、途中でやめるとダメなんです。
――手の握り方や振り方はどうでしょうか。
手をグーにして走る子もいれば、パーで走る子もいますが、私のおすすめは「チョキ」です。グーだと緊張してぎゅっと握り締めてしまう場合がある。そうなると腕が上手に触れません。パーでもいいのですが、小指側は少し力が入っていたほうがいいので、そう考えると「チョキ」がベストですね。程よく力も抜けてリラックスできます。
走るときの腕の振りは、大きく振ることより、振ったときに腰をひねることのほうが重要です。腰をひねることで脚が前に出やすくなるんです。
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