「できないイライラ」どう対応する?
お子さんは実は繊細なところがあり、思うようにできないと急に不安になるタイプだと思われます。また、全体を視覚的にとらえる力が高いので、頭の中にゴールイメージができていて、その通りにできないからイライラしているのかもしれません。そうした理解ができると、親御さんは、お子さんがイライラするのを防ごうとは考えなくて良くなりますね。イライラする時はするので。
たしかに、子どもがイライラする姿を見るのは誰でもキツイですよね。ただ、僕がこのお子さんの親だったら、面白がりますね。「ここまで怒るってことは、自分では相当できるはずとイメージしていたんだな。相変わらず気が早いなあ(笑)」と。まだ小1なのに、達成した形をイメージできて、思うようにできないことにいらだってしまえるなんて素晴らしい才能ですよ! まずそこを認めてあげてほしい。
そしてこのお子さんの場合は、イライラしている最中に親が「早く鎮まってほしい」と期待しながら見守っていても、あまり意味はありません。本人にとって「できるはず」のことが、思うようにいかないから苛立っているので、その原因を解決せずに、ただ鎮まることを期待されてもお子さんは困ってしまいます。
お子さんの自主性を本当に大事にしたいなら、イライラが落ち着いてから「そうか、こういう完成形を目指していたんだね。ここでパーツがはまらなかったからイライラしたんだね」というように、お子さんの感情をくみとって言葉で説明し直してあげるのがいいでしょう。「そう、そう言いたかったの!」とお子さんにとってしっくりくる言葉を伝えられたなら、お子さんの中に感情を説明できる言葉がたまっていきます。言葉がたまれば、イラッとした時に脳内での会話が行えるようになり、「ちょっと待って。ここまで戻ってやり直してみよう。よし、直せた! イライラせずにすんだ」という経験を積んでいけると思います。
ちなみに、「できないイライラ」は永遠には続かないので安心してください。子どもたちは、算数や国語、理科、さまざまな学び・経験から、イメージしたゴールに辿り着く方法を学んでいきます。お子さんは賢い子だと思うので、遅くとも4年生、5年生と成長するうちにイライラはおさまっていきますよ。
(構成/布施奈央子)
※小川さんのYouTubeチャンネル「小川大介の『見守る子育て研究所®』」や、AERA with KidsのYouTubeチャンネルで、小川さんの話を動画で配信しています。