97%の保護者に充実感 来年以降も継続の方針

 気になるのが3泊5日の中身だ。おもな旅程は以下の通り。

 レジャーに観光、体験学習と盛りだくさんだ。

 1学期に修学旅行を終えた6校の保護者への8月時点のアンケートによると、およそ97%が「充実した」と回答。「ホテルや食事も申し訳ないくらい至れり尽くせり」との回答もあった。生徒の意識調査では、英語学習に対するモチベーションに大きな向上がみられた。不登校の生徒8人が修学旅行を機に学校復帰できたという報告もあったそうだ。

 一方、ネガティブな感想としては、「費用削減でカメラマンが同行できず写真がない」「無事に行って帰ってくるだけでもハードルが高い」「暑さ対策が不十分」などの声が教員から上がった。区議からは「アジアなまりの”シングリッシュ”では英語教育といえない」という意見もあった。

 港区には、海外修学旅行を決定した昨年秋以降、国や他の自治体から「参考にしたい」と問い合わせが相次いでいるという。

「3泊5日という短期間でなにができるのか、とのご意見もいただくが、教育の究極の目標は、子どもたちがこれからの社会で生きていく力をつけること。港区が先頭になって海外修学旅行の事例をつくり、成果を発信することで全国に広げたい」と浦田教育長。

 来年度もシンガポール修学旅行を継続する方針だ。

シンガポール旅行を題材にした、来年度から使用される英語の検定教科書「NEW HORIZON 2」(東京書籍)。4つの公用語があるシンガポールの「多民族性」に焦点をあてた内容となっている。かつて、海外の描写といえばアメリカが多かったが、英語が国際共通語として広まっている近年は、シンガポールも定番なのだそう。
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