「教育機会の不平等」と区外からは批判の声も

 公立中学の海外修学旅行に億単位の公費を使うことに対し、区外からは「お金持ちの自治体の子どもだけが機会に恵まれている」「港区だけずるい」といった批判も届くという。

「港区は他の自治体と比べて小学校受験・中学受験率が高く、公立中に進む子どもが少ない特殊な環境だから実現できたのでは」と指摘する教育関係者も。

 六本木ヒルズや東京タワーがそびえる港区は、上場企業数が都内一、平均所得も日本一高い。税収が豊かなため、都からの「財政調整交付金(普通交付金)」も20年以上配分されておらず、区民からは「収めた税金の対価に見合う行政サービスを提供してほしい」という要望も強いそうだ。

 浦田教育長は、こう語る。

「税収が多いからといって何をしてもいい、というわけでは決してありません。今回の海外修学旅行が子どもたちにどう影響したのか、しっかり効果を検証したい。国や他の自治体にも参考にしていただければ、教育による国力の底上げにつながると考えています」

(AERA with Kids編集部・曽根牧子)               ※2024年8月1日現在

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曽根牧子
編集者/ライター 曽根牧子

朝日新聞出版アエラムックチームの編集・ライター。『AERA English』『英語に強くなる小学校選び』などで教育、英語学習、小学校受験に関する記事を執筆。

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