言語習得の効率は、18歳以降から減少し始めますが、それ以前は幼児期から英語の勉強を始めた集団と、10歳以降に始めた集団との間に、英語駆使力に関して大きな差は見られなかったのです。
小学校高学年以降に本格化する学校の英語学習のためにも、それ以前に英語を楽しく負担のない知識の対象として接することは大切です。応用言語学ではこれを、「タスク中心教授法(Task-based language learning)」と言います。
私の下の娘は、7歳から歌を通じてフランス語を学んでいます。彼女のフランス語文法の実力は、一言で言って残念ですが、それでもフランス語の授業が大好きです。おいしいケーキを作りながら、フランス語を勉強することもあります。楽しく口ずさめるフランス語の歌は、現在5、6曲。文法は知らなくても、歌詞の意味は理解していて、いつでも歌うことができます。夫のフランス人の友達が家に来たときは、娘がフランス語の歌を歌って驚かせ、楽しませてくれました。こうした経験が興味や学習動機を誘発すれば、彼女は中学校に行っても自発的にフランス語を学ぶでしょう。
外国に行かなくても、できることは無数にある
私はというと、大学でフランス語を履修しましたが、そこで学んだフランス語はほとんど覚えていません。むしろソウルで、8歳のフランス人ソフィーから習ったフランス語の方が、よほど記憶に残っています。
当時、私はフランス語を学ぶためにはフランス語話者に接しなければと思い、フランス人が多く住むソレマウルによく足を運びました。そしてスーパーマーケットにベビーシッターの広告を貼ったところ、ソフィーという子のお母さんから電話があったのです。ソフィーを学校に迎えに行き、おやつをあげて遊んでほしいとの依頼でした。このときから、ソフィーは私の最高のフランス語の先生になりました。ソフィーの前では文法を間違えるのではないか、とがめられるのではないかと心配する必要もありませんでした。
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