「まさに、好きこそものの上手なれ。当時は漢字も2千字は覚えたかな。それに比べたら、英語なんてアルファベット26字しかないんだから、読み書きだって簡単なはず」

 上智大学への留学を経て、ロサンゼルスで出会った日本人女性と結婚。テレビプロデューサーとして再来日し、40年経った今も、新しい単語を覚えては手帳へ書き記す。お世話になった人には手書きで礼状を書き、時事問題に絡めた日本語のジョークをXに日々投稿する。

「渾身のダジャレがネットニュースで取り上げられると、『やった!』って思います」

 わずか10歳で「脱線」した人生は、デーブさんを思わぬところまで連れてきた。

三島由紀夫の生涯をテーマに書いた弁論大会の優勝原稿=本人提供

名作との出合い 親がキュレーターに

 日本語の達人であるデーブさんは、日本人の英語力をどう見ているのだろうか。

「この国には日常的に外来語があふれているし、総じて基礎知識のレベルは高い。会話の機会が増えて、スピーキングや発音さえ磨かれれば、いい線いくと思いますよ」

 幸い、教材は豊富にある。

「今は魅力的なコンテンツがYouTubeや動画配信サービスにたくさんあって、堅苦しい教科書を読まなくても生きた英語を学べる。いい時代になりましたよね」

 親が「キュレーター」となって、良質なものに触れさせてあげるのも大切だ。

「映画でも歌でも、親が感動したものや名作を子どもにも教えてあげてほしい。例えば、ビートルズ。ビートルズの歌詞で英語を学ぶなんて、最高のぜいたくですよ。小さい子なら映画の原題を調べてみるのもいい。例えば『アナと雪の女王』の原題は『Frozen』。フローズンヨーグルトのfrozenだね、なんて知識を広げていけば、楽しいですよね」

 一方、親が教育熱心になりすぎることには警鐘を鳴らす。

「僕には子どもはいないけど、習い事に塾にと通い詰めで、子どもに自由な時間がないのは考えもの。アメリカでは塾なんてほとんどないし、親は子どもの進路にあまり口を挟みません。余白時間があるから、子どもは外に出て、虫捕りに花摘みにと好きなことにとことん打ち込むことができるんです。それに、カブトムシ捕らないと異常発生しちゃうから(笑)」 

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