決められた課題をこなすだけでなく、自分が興味・関心を持っていることについてじっくり学ぶ――。そのような「探究的学び」のスタイルがいま注目されています。「女性の自立」を建学の精神に2022年に創立125周年を迎えた和洋学園。和洋国府台女子中学校高等学校では、生徒が主体的に思考・行動するための探究学習を推進している。ある日の探究の授業の様子を、「偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2025」(朝日新聞出版)から紹介しよう。
【写真】必要な道具は紙とペンだけ!”KP法”を使った授業の様子はこちら(ほか、全3枚)授業で大切なのは、テーマの設定
探究型の授業で大切なのは、課題の設定と、生徒のやる気をいかに引き出すかだ。
「やりがちなのが、つい大きなテーマを掲げてしまうこと。環境問題やSDGsなどにまつわる課題もいいのですが、アイデアが似たようなものになりがちですし、そもそも生徒が自分の意見を言うことにまだ慣れていないときは難しいです。最初は生徒にとって身近な課題や疑問から始めるほうがいいでしょう」
そう語るのは、同校の新教育研究部長で国語科担当の河口竜行先生。早くから探究学習の必要性を認識・実践し、1998年から2022年まで東京の渋谷教育学園渋谷中高で実績を積み上げてきた。
ちなみにこれまで先生が接した生徒たちが取り組んだテーマを教えてもらったところ「伊達政宗が天下統一するためには何が必要だったのか」といった教科の学びの中から出てきたものや、「授業中の眠気を減らす方法は」や「強そうな怪獣の名前の条件は」など日常生活の中から出てきたものがあるという。
「コツは生徒自身がなぜだろうと感じられる具体的なものについて、小さく細かく設定すること。生徒のやる気が出るものであれば、新しいネタもどんどん試します」
そんな先生が今回提示したテーマはこちらだ。「古典探究:なぜ古典を学ぶのだろう」
あえて紙でプレゼンし発表の工夫を広げる
高校2年生の、新年度間もない時期の授業は、4~5人の班に分け、互いに向かい合うところから始まった。このクラスの生徒たちは、高大連携7年一貫のプログラムで計画的に学ぶことができる、和洋コース(基本的に和洋女子大学に進む)に所属している。
「『なぜ勉強するのだろう』という問いは、誰もが一度は浮かぶものではないでしょうか。時間的にも精神的にも比較的ゆとりのある和洋コースにいるからこそ、あらためてゆっくり考えてみてもいいのではと提案しました。『勉強』だと広すぎるし、古典だけだと似たような内容になるかもしれないので、ほかの科目も加えて班ごとに選んでもらいました」
今回は、KP法で発表を行う。
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