コンタクトレンズ、どんなトラブルがあるの?

Q どのようなリスクがあるのでしょうか?

 一番の理由は、角膜がコンタクトレンズによって覆われることで、角膜の細胞に酸素が十分に供給されなくなってしまうことです。角膜は黒目の部分で、網膜に映像をうつしだす情報である光を外から取り入れるレンズの役割をしています。このため、空気中の酸素を、涙を介して細胞に取り入れることで新陳代謝が行われ、透明性が維持されています。つまり、コンタクトレンズの装着で酸素不足になってしまうのです。

 最近は酸素透過性が高い、高品質のレンズが開発されていますが、それでも酸素は十分ではなく、例えると、富士山の頂上付近の酸素濃度と同じです。ネットなどで購入できる格安のカラーコンタクトレンズの中には酸素透過性が低いため、さらに厳しい環境、具体的にはエベレストの山頂付近の酸素濃度と同じ程度になるレンズがあるといわれています。

Q 角膜の酸素不足が続くと目にどのようなトラブルが起こってくるのでしょうか?

 角膜細胞のバリアー機能が低下し、免疫力が落ちて細菌などの病原菌が感染しやすくなります。コンタクトレンズによって起こる代表的な感染症に、「角膜炎」があります。

 細菌や真菌(カビ)、ヘルペスウイルスやアカントアメーバなどの病原菌が角膜に感染、増殖することで発生するもので、主な症状は、目の痛み、大量の目やに、大量の涙、白目の充血などです。重症化すると、角膜が濁って白くなり、視力に影響したり、角膜に穴が開いて失明したりすることもあります。

 なお、感染源となる病原菌はどれも身の回りに存在しているものです。健康な角膜にこのような病原菌が付着しても、体の防御機能が働くので、通常は発症しません。バリアー機能が低下していることが問題です。

 なお、失明や視力障害をきたすような重篤な角膜炎の原因は、約2分の1がコンタクトレンズによるものですが、10~19歳に年齢を限定すると9割におよびます。

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