小学校高学年になると、メガネからコンタクトレンズへの移行を考える子どもや保護者が多くなります。コンタクトレンズを使用する適正年齢はあるのでしょうか? 使用にあたっての注意点は? 日本眼科医会副会長で眼科専門医の柏井真理子医師に聞きました。
【図】子どもたちの視力と見え方がわかるイラストはこちらコンタクトレンズは小学生でも使っていい?
Q どのくらいの数の子どもがコンタクトレンズを使用しているのでしょうか?
日本眼科医会が実施した調査では、2018年時点でコンタクトレンズを使用している小学生の割合は、0.3%、中学生は8.7%、高校生は27.5%という結果でした。小学生の割合は統計を取り始めた2000年から大きく増えてはいませんが、中学生は2000年(4.6%)と比較すると2倍近くに、高校生も21.9%から増加傾向となっています。
Q コンタクトレンズをつけるのに適する年齢は?小学生で使用してもいいですか?
小学生には基本的に、すすめていません。
眼科専門医の共通認識として、コンタクトレンズの使用は「目のケアが自分でできる中学生くらいから」を推奨しています。それでも、異物であるコンタクトレンズを目に入れることは、積極的にすすめられるものではありません。スタート時期は中学生よりは高校生、高校生よりは高校卒業後、という具合にできるだけ遅いほうがいい、と考えています。
なかにはサッカーなどのコンタクトスポーツや新体操、体操競技に取り組んでいるお子さんで、「試合に出るときはコンタクトレンズが不可欠といわれた」などの理由から、処方を希望するケースがあります。
このような場合、子どもも納得していることを確認したうえで、「どうしても必要な場合」につき使用をすることが原則と考えています。その場合、1日で新しいレンズに交換する使い捨てタイプ (ワンデータイプ)をすすめます。
ここまで慎重になる理由はコンタクトレンズの使用がさまざまなリスクをともなうからです。コンタクトレンズは高度医療機器の一つです。そのことをきちんと理解しないまま、基本的な約束事を守らず使用を続けていると、角膜感染症をはじめ深刻な目の病気を発症し、視力障害を生じるなど深刻な状態に陥ることもあります。
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