2022年には東大に推薦合格者が出た

 大学進学のサポートも充実しています。多種多様な情報を集めて、自分の人生をじっくりと探究していくキャリア教育を、中高6年間を通し実践しています。中1~中3では進路探究(キャリアガイダンス)とグループワークを実践し、高1からは進路探究が進学ガイダンスと変化します。このあたりはこの20年くらいで整備されました。

 さらに、進路を考えるうえでの高大連携も実践していて、近隣の東京海洋大学やテンプル大学とは連携協定を締結、今後も連携大学を増やしていく予定だそうです。

 2024年の大学進学実績としては、卒業生数42人に対し、慶應義塾大学2人、早稲田大学2人、上智大学7人で、すべて現役合格しています。少し前の2022年3月卒業の生徒では、東京大学の学校推薦型選抜で合格者を出したことも記憶に新しいです。この合格の際にも江藤先生を取材しましたが、全校でチームとなって、その合格をサポートしたことを伺い「中村は進学指導の点でずいぶん進化したものだ」と感じ入ったのをよく覚えています。

「居心地も大事」と考える保護者のニーズ変化

 江藤先生によると、江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区、足立区、中央区から通ってくる生徒が全体の7割を占めるそうです。近年素敵なコーヒーショップなどオシャレタウンとして人気の清澄白河ですが、近隣に住む方々が「近くて居心地の良い私学」ということで、子どもの進学先として選んでいるようです。「進学実績も大事だけど、居心地も大事」という中学受験の保護者の価値観の変化と中村が合致してきたのもあるでしょう。

 最後に江藤先生にどのような受験生に来てもらいたいかを伺いました。

「知的好奇心を持っている子でしょうか。いろいろ学びたい、何かやってみたい、学びにワクワクしたいという子に来てほしいです。我々はそのワクワクに応えていきますよ!」

お話を伺った江藤先生。「若い人の像」でポーズ

(文/井上修)

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井上修
進学レーダー前編集長/日能研入試情報室室長 井上修

いのうえ・おさむ/1967年生まれ。91年横浜国立大学教育学部心理学専攻卒業。同年日能研入社。以来継続して入試・学校・教育情報を専門とする。中学受験雑誌「進学レーダー」編集長を経て2024年より現職。著書、雑誌への寄稿多数。

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