子連れで海外旅行を考えるとき、観光地を回るのもいいけれど、のんびりと現地の文化を味わう体験もおすすめ。世界60か国を取材してきたフリージャーナリストの仲山今日子さんが、小学生の息子さんと過ごした夏のひとときを寄稿してくれました。子育て情報誌「AERA with Kids2024年夏号」(朝日新聞出版)から一部お届けします。

 首都バンコクから飛行機で約1時間、「北方の薔薇」の別名を持つ古都チェンマイ。タイは歴史的に大きく三つの王朝が栄え、この北部タイには、ラーンナーという名の王国が存在していました。その名の由来は「百万の水田」という意味で、一説には稲作発祥の地と言われています。

 親子でそんな米づくりの歴史を知るため、昨年、小学生の息子と訪れたのが「フォーシーズンズ リゾート チェンマイ」。広大な敷地内に伝統的な棚田やヴィラが並び、農村で暮らすかのように過ごせる屋外ミュージアムです。

 熱帯気候で一年じゅう稲作が可能な土地柄のため、スタッフに教えてもらいながら、田植えや収穫、天日干し、脱穀、籾摺り、精米と米づくりの過程を一通り見学、体験できます。

 まずは田植えからスタート。北部タイ伝統の天然の藍染めの服に着替え、長靴で田の中に入ります。泥の中は歩きづらく、なかなかの重労働。「米粒には100人の神様がいる」という言葉が身にしみました。

実は日本の3倍以上の米の生産量を誇るタイ。地元の農家の人が実際に耕す水田で、息子は初めての田植え体験。想像以上の重労働を実感できたようです。
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