自然体験や学び体験などで充実した時間を満喫することも、親子の思い出を増やすこともとても大切ですが、親として気になるのは、「体験」と「学び」がつながっているかどうかということ。「体験して楽しかった」だけで終わりにせず、「経験値」を上げるためには、親はどうサポートすればよいのでしょうか。早稲田実業学校初等部の岡部寛之先生に教えてもらいました。「AERA with Kids 2024年夏号」からご紹介します。
【写真】無人島を脱出!子どもにも大人気の「2児のパパ」といえばこの人「学び」と「体験」の間に必要な親のサポートとは
学んだことが体験の場で生かせなかったり、逆に体験が学びに活用できなかったり。学びと体験がうまくつながらないのはなぜなのでしょうか。早稲田実業学校初等部で長年アウトドアクラブの顧問をしている岡部寛之先生は、その理由について次のように話します。
「一つは失敗を恐れるあまり自ら体験しようとしない、知識と体験が結び付かないパターン。もう一つは生活様式の変化でリアルなイメージを描けないパターンです。『物が燃えるには酸素が必要』と学んでも、家ではIHだと火そのものを理解するのも難しいですね」
その溝を埋めるには「実際に体験しつかんだことが経験値として上がるような大人のサポートが必要」と岡部先生は強調します。
「アウトドアクラブでも炭に火をつける活動をしていますが、うまく火がつかないことを失敗ではなく、どうしたらうまく火がつくかを考えてトライしています。『楽しい失敗』にできるのが体験のメリット。試行錯誤の末つかんだ成功体験は、達成感が生まれるので経験値を底上げしますね」
もう一つ大事なのが「振り返り」。
「『何が一番印象的だった?』といった話を子どもから引き出して体験を振り返ることで、つかんだことが経験に変わり、また別の体験や学びの場で生きて働く力となるでしょう」
結局、試行錯誤をしたり楽しい雰囲気の中で失敗を経験したりしながら、発見や感動、達成感を実感し、それらを振り返ったり思い出したりすることで体験が経験に変わっていくもの。
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