ではワクチンの有効性はどうかというと、承認前の臨床試験では、ワクチンの有効性は、RSウイルス関連の重症な下気道感染症に対して、生後90日で81.8%、生後180日で69.4%でした(#3)。母乳やミルクしか飲めない生後3カ月以内の赤ちゃんが、RSウイルスにかかり重症化していく姿を現場で見てきた身としては、8割も抑えてくれるのはありがたいことです。

 そのほかに、アレックスビーも同様にRSウイルスの抗原を使用したワクチンですが、こちらはさらにより強力な予防効果を発揮します。これは2023年9月に日本で初めて60歳以上を対象とするRSウイルス感染症予防ワクチンとして国内承認されました。ただこれはあくまで60歳以上の高齢者を対象としたものであり、妊婦に間違って接種しないよう注意する必要があります(#4)。

 RSウイルスは小児にとって非常に危険な感染症であり、特に早産児や基礎疾患を持つ子どもには深刻な影響を及ぼす可能性があります。これまでのシナジスに加え、新たに登場したベイフォータス、アブリスボといった予防薬は、それぞれ異なる特徴と役割を持ち、RSウイルス感染症の予防に大きな効果をもたらしています。

 これらの予防戦略を組み合わせることで、より多くの子どもがRSウイルスから守られることが期待できます。保護者や医療関係者は、これらの予防薬の特性を理解し、適切な予防策を講じることが重要です。

(小児科医、新生児科医・ふらいと先生/今西洋介)

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今西洋介(ふらいと先生)
小児科医・新生児科医 今西洋介(ふらいと先生)

小児科医・新生児科医。日本小児科学会専門医/日本周産期・新生児医学会新生児専門医。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。小児公衆衛生学者。医療漫画『コウノドリ』取材協力。富山大学医学部卒業後、都市部と地方の両方のNICU(新生児集中治療室)で新生児医療に従事。Xアカウント(@doctor_nw)は2024年3月現在14万フォロワー。

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