「うちの子は鼻血がよく出る」と心配している親御さんは多いと思います。鼻血はなぜ出るのでしょうか? よくない病気が隠れていることもあるのでしょうか? 鼻血に関するギモンについて、静岡県立こども病院耳鼻いんこう科医長の橋本亜矢子医師に聞きました。

MENU 「鼻血がよく出る」のはなぜ? 鼻血が出るのはどんなとき? 止血の正しい方法は?

「鼻血がよく出る」のはなぜ?

Q「鼻血がよく出る」子がいるのは、なぜですか。

 鼻の中は薄い粘膜で覆われており、この粘膜に多くの毛細血管が網の目のように張り巡らされています。とくに血管(静脈)が集中しているのが、鼻の左右を分ける仕切りの壁、「鼻中隔(びちゅうかく)」の下のほうで、鼻の穴から1センチほど奥に入った「キーゼルバッハ部位」と呼ばれる部分。ちょうど子どもが指を入れると第一関節が入るくらいのところです。毛細血管とはいえ、比較的太いものもあります。ちなみに、キーゼルバッハの名前はドイツ人の解剖学者、キーゼルバッハの名前が由来です。鼻血の70~90%はこのキーゼルバッハ部位の血管が刺激などで破れることによる出血なので、ほとんどの場合は心配いりません。

Q 鼻血が出ることで、心配なケースはありますか?

 頻度は低いですが、血が固まりにくくなる「血液の病気」や「悪性リンパ腫」が原因の場合、鼻の腫瘍による出血が起こっている場合もごくまれにあります。「鼻をつまんで止血をし、10分以上たっても血が止まらない(※止血のやり方は後述)」「1週間以上、続けて毎日のように鼻血が出る」、鼻血に加え、「顔色が悪い」「思い当たる原因がないのに、からだに青あざがよくできる」という場合は、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

Q なぜ子どもは鼻血が出やすいのでしょうか?

 実は大人に比べ、子どものほうが鼻血を出しやすいという統計や調査はありません。ただ、実際には、子どもはよく鼻血を出しますね。なぜなら子どもは大人と違って鼻の中をいじることに抵抗がありません。かゆければ指を入れますし、平気で人前でも鼻をほじります。鼻の粘膜は直接、外界と接しているので、このような行為で傷つきやすく、容易に出血します。また、子どもの場合、キーゼルバッハ部位の手前あたりに太い血管が見られることが多いです。こうした鼻の構造の違いも、鼻血の出やすさの一因と考えられます。

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狩生聖子
ライター 狩生聖子
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