「子どもがもっと夢中になって本を読んでくれたら…」と嘆く親は多いものです。もしかしたら、選んだ本がお子さんに合っていないかも!? 「『読む力』には個人差があります。お子さんが『疲れずに読める本』を選んであげましょう」と子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を立ち上げた笹沼颯太さんは言います。では、どのように子どもに本を選べばいいのでしょうか? 笹沼さんの著書『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)からご紹介します。
【写真】開成高校出身・ぎん太さんの本棚はこちら「〇年生向け」をあてにしない
本選びをはじめるにあたって、まずはレベルについて考えていきましょう。どうすれば、子どもに合ったレベルの本を見つけられるのでしょうか。レベルの判断に迷ったときに頼りにしがちなのが、子ども向けの本にときどき書いてある「〇歳向け」「〇年生向け」という表記です。しかし残念なことに、その表記通りに本を選んだところで、読書が苦手な子どもの場合は特にレベルが合わないことがよくあります。
たとえば、3年生の主人公が登場する本に「3年生向け」と書かれているのはよくあることですが、その本が主な読者として想定しているのは「読書が好きで本を読むのが得意な3年生」です。つまり「読書がそれほど好きではなく、本を読むのが苦手な3年生」にとっては、難しすぎる場合が多いのです。
ではここで、想像してみてください。読書が苦手な3年生が、「『3年生向けの本』だから読みなさい」といって興味もない本を押しつけられると、どうなるでしょうか。難しすぎて理解することもできず、退屈さや不快さだけを味わうことで、読書への苦手意識がますます強くなってしまうはず。そうして読書に対するネガティブなイメージを持つと、本との距離はますます開いてしまうでしょう。
子どもは一人ひとり、体の成長速度が違います。それと同じように、読む力の成長速度にも個人差があります。3年生の頃には平均よりも身長が低かった子どもが、6年生になるとクラスの誰よりも高身長になっている……ということもあり得ます。
次のページへ「ちょうどいい難しさ」の本とは?