さまざまな「偏差値」が出回っていますが、ここでは母集団の学力層が似ているため、中学受験、高校受験でともにトップランナーが集まるSAPIXの偏差値を用います。
◆SAPIX小学部とSAPIX中学部の偏差値比較
【SAPIXの偏差値】 中学受験 高校受験
明治大学付属明治 55 54
中央大学附属 47 49
青山学院中等部高等部 51 53
法政大学 47 44
4校の中学受験と高校受験の偏差値が、おおむね似たような数字で収まっていることがわかります。SAPIXは小学部と中学部で運営元が異なりますが、通っている学力層は似ているようです。SAPIXの元教務部長の先生にも話を伺いました。先生のイメージでは、小学部の偏差値50 が、中学部では真ん中より少し上ぐらいの位置に当たるとのこと。中学受験と高校受験で上位校の難易度を比べるには次の指標でイメージすると良いです。
中学受験SAPIX偏差値+2 = 高校受験SAPIX偏差値
次に、SAPIX偏差値で、中学受験の御三家と高校受験の都立トップ校を比べます。
◆中学受験御三家と高校受験都立トップ校の偏差値比較
・【中学受験 男子御三家】 開成 68 麻布 61 武蔵 61
・【中学受験 女子御三家】 桜蔭 62 女子学院 61 雙葉 59
・【高校受験都立トップ校】 日比谷 56 西 54 国立 52
中学受験の御三家のほうが、高校受験の都立トップ校よりも難しいことがわかります。御三家に合格できる潜在能力を持つ生徒は、高校受験に回れば日比谷高校に余裕で合格できる可能性が高いでしょう。都立トップ校は難関校ですが、中学受験と比べれば競争は緩やかです。SAPIX偏差値から類推するに、都立トップ校の難しさは、中学受験でいう男子の本郷中学、芝中学、女子の鴎友学園中学と同程度であると考えるといいでしょう。もしも中学受験でSAPIX偏差値50 の子が高校受験に回ってきた場合、高校受験では都立トップ校が現実的な目標校になります。
都立高校の進学校の難易度を中学受験偏差値に換算するとおおむね次のようになります。
□都立トップ校:【SAPIX偏差値】50 【四谷大塚・日能研】58
□2番手系都立:【SAPIX偏差値】45 【四谷大塚・日能研】54
□3番手系都立:【SAPIX偏差値】35 【四谷大塚・日能研】45
四谷大塚の「合不合判定テスト」や日能研の「全国公開模試」で偏差値50 を取れている子が高校受験に回ると、立川高校や青山高校などの2番手系の自校作成校が現実的な目標校となるでしょう。3番手系の都立高校は、大学進学先の平均がMARCHです。四谷大塚の「合不合判定テスト」や日能研の「全国公開模試」で偏差値40 半ばの学力層は、英語が鍛えられる高校受験に回ったほうが、英語力重視に舵を切る有名私大進学の可能性を高められる可能性があります。何人かの高校受験の先生に確認を試みましたが、私も含めて、これは「高校受験の現場感覚とほぼ一致している」という意見でした。参考にしてみてください。
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