リレーはバトンを受け取るとき、「後ろを見ない」

――高学年になるとリレーを行う学校も多いと思います。リレーも何かコツはありますか。

 リレーはバトンの受け渡しがポイントですね。バトンを上から取る(オーバーハンドパス)とか下から取る(アンダーハンドパス)とかが話題になりがちですが、それは重要ではありません。走ってきた人がバトンを渡す際の、受け取り側のダッシュのタイミングが重要なのです。

 よくあるのは、バトンを受け取ってから走り出すパターン。そうではなく、受け取る側は、走ってきた人がバトンの受け渡しをするのにちょうどよい位置を通過したら全力で走り出します。バトンを持って後ろから走ってきた人のほうが、走り出す人より速いから、そうすることで減速せずにバトンを渡すことができるのです。バトンを受け取るとき、走ってきた人が「ハイ」と声をかけたら、腕を後ろに伸ばしてバトンを取る準備をします。もちろん後ろを見てはいけません。

 走り出すタイミングとなる通過位置は、何度も練習して、あらかじめ決めておきます。競技会ならテーピングの白いテープなどを貼って「印」をつけられますが、運動会だとそうもいかないので、例えば事前にグラウンドの土に靴で線を書いておくなど、自分でわかる目印を残しておけるとよりよいですね。

 実はこのバトンパスは、日本チームがとても技術が高かったので、オリンピックでのメダル獲得にもつながりました。しかし今はほとんどの国がバトンパスの練習をしているので、走力の勝負になってきています。

まずは過去の自分と今とを比べることが大切

――運動が得意な子にとっては楽しみな運動会ですが、苦手な子にとっては参加したくない、恥ずかしいと思うこともあると思います。そんなとき、親ができることはありますか。

 最近はみなさん、スマホやビデオなどで動画を撮っていらっしゃいますよね。周りと比べるのではなく、まずは動画で、子どもの昨年のタイムや走り方と今年とを比べてみるのがよいでしょう。

 先ほどのドリル練習に取り組まれたら、昨年より速くなるはずですし、もし過去より少しでも速くなったのなら、それを大いに褒めてあげてください。まずはご自身のお子さんがどういうふうに変わったかに目を向けることが一番大事だと思います。

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