英会話に苦手意識を持つ親が、自宅で子どもに英語を学ばせる際にネックになるのが「英語を話す」こと。「親である自分が英語をしゃべれないのに、家で子どものスピーキング力を伸ばすことができるの?」と思うかもしれません。翻訳家の鹿田昌美さんは「おうち英語では、親が英語を話しかけるのは必須ではありません」と言います。その理由、そして親の役割とは?「AERA with Kids」(朝日新聞出版)からお届けします。

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話すことのハードルを下げることが一番大事

 鹿田さんは「おうち英語では、親が英語を話しかけるのは必須ではありません」と言います。

 親がやるのは英語を教えることではなく、子どもの英語環境を作り、見守ったりいっしょに楽しんだりして、子どもの英語が好きな気持ちややる気を起こし、持続させることが重要だからです。

「話す」というのは、なにも英会話のキャッチボールだけを指すのではありません。リスニングをまねして声に出すこと、声を出して本を読むこと(音読)、DVDや動画に向かって突っ込みを入れること……など、すべて広く「話すアクション」と考えて、親はその体験の仕掛け人になればいいのです。

「親子でさまざまな話すアクションにトライすれば、子どもは安心して声に出せるでしょう。子どもが一人で音声を聞いたりDVDを見たりしているときに、何か英語を口にしたら、親は見守りながら“すごいね〟“かっこいいね〟などと日本語で反応するのでもいいのです」

 大事なのは「正確な英文で話す」ことよりも、「話すアクションをたくさん取り入れて、話すのが楽しい経験を重ねる」ことです。

「正確さの部分は、おうち英語ではなく、英語塾やネイティブの先生に学ぶ。おうちでできるのは、英語を話すことに抵抗をなくし“なんでも口に出しちゃおう〟という姿勢を育むことです」

話す体験を増やす  ツール&遊び

 親が学生時代に英語の授業で行ったスキット練習が「使えない、身につかない」と感じるのは、「仮定のシチュエーションでの会話訓練」であって、自分が考えて発した言葉ではないから。おうち英語では、不完全な文章でもいいので、「自分の思いや考え」を口に出す体験を重ねよう。次に挙げたツールや遊びは、そんな体験を作る強力なサポーターになってくれます。

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船木麻里
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