もちろん私は人よりかなりたくさん食べるのですが、おいしいからたくさん食べたいし、おいしいものをおいしく食べたいのです。パンの大食い対決なのに、食べた量に含まれないジャムを1キロおかわりして味わって食べ、負けてしまいました。周りがアスリートみたいに早く無駄なく食べていくなかで、私はただおいしいものを食べに来たギャルでした(笑)。

 いつごろから食べるのが好きになったの? とよく聞かれますが、生まれた直後から好きだったみたいです。「母乳だけだと全然足りなくて、ミルクを足し続けた」「哺乳瓶の吸い口を切ってダイレクトに飲めるようにしていた」と母から聞きました。

 少し成長してからは、1歳年上の姉と競うようにしてごはんを食べていました。

 でもそれは「大食い」というより、母のごはんが本当においしかったから。今でも実家に帰ると「これ作って!」とリクエストします。ハンバーグ、餃子、カレー、あとは母の串カツも大好きです。母の味は特別で、どうしても真似ができないんです。サラダも何種類もあって、「今日はお母さんの大根サラダが食べたい」「いやぁ、やっぱりキャベツのサラダ……小松菜のサラダもいいなぁ」と迷ってしまいます。

 そうそう、母の定番ハンバーグは、トマト味の煮込みハンバーグ。それがもうおいしくて、おいしくて。今思えば、子ども3人があまりによく食べるので、表面だけ焼いて煮込むだけの煮込みハンバーグがラクだったんでしょうね。

 それに母の両親、つまり私の祖父母が畑でお米や野菜を作っていて、しょっちゅう送ってくれていました。その野菜もごはんもまたおいしくて……。わが家では毎食1升ごはんを炊いていたんですが、ペロリとたいらげてしまっていました。

 母は小学校の先生だったので、ものすごく忙しかったと思うんです。しかも私が小学生のときに両親が離婚し、父は失踪。母は仕事も料理も子育ても一人で抱えていたわけです。

 お金のこともかなり苦労していたとは思うのですが、いつも笑顔で明るくて、大変さなんて少しも見せなかった。本当にすごいなぁって、今はつくづく思います。

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