1月2日、東京の羽田空港で、着陸した日本航空機(日航機)が、同じ滑走路上にいた海上保安庁の航空機(海保機)と衝突し、炎上。冷静な対処により日航機の乗客・乗員379人は脱出しましたが、海保機の乗組員5人が死亡しました。このような事故を防ぐため、今後どのような課題があるのでしょうか? 小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2024年4月号』(朝日新聞出版)からお届けします。
【写真】訪日外国人観光客急増で航空機が足りなくなる? 記事はこちら管制官とパイロットは耳や目が頼り
航空機の安全な離発着は、管制塔の管制官が各機のパイロットと無線通信でやりとりする航空管制業務により保たれる。今回の事故では、やりとりの中で何かミスがあったと見られるが、背景にはミスのリスクを高めるさまざまな要因がある。
管制官とパイロットのやりとりでは、道路や鉄道の信号にあたるものはほとんどなく、耳や目が頼りだ。管制官の指示をパイロットが復唱してミスを防ぐが、ゼロにはできない。2008年以降、滑走路への誤進入などは約30件にのぼる。
羽田空港の発着数は1日約1300回で、ピーク時は1時間に90回。1分間で1・5機が発着する計算だ。イギリスの航空情報会社が発表した23年の「世界混雑空港ランキング」で羽田空港は3位。事故が起きた2日は正月休みのUターン客向けに臨時便も飛び、通常より混雑していた。炎上した海保機は能登半島地震の救援物資を積んで新潟航空基地に向かうところだった。
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