レーザー治療は安全性が向上したといっても、子どもにとってまったく負担がないわけではありません。局所麻酔をしても照射の際に多少痛みを伴うことがあるほか、範囲が広かったり目の近くにあったりする場合、あるいはじっとしているのが難しい場合は全身麻酔で実施することもあります。また、治療は1回ですむわけではなく、3カ月くらいの間隔をあけて、あざが消えるまで繰り返します。
「特に再発しやすいあざに関しては、ある程度の年齢になってから本人と相談して決めるのも一つの方法です。実際にあざを自分の個性だと捉えて、まったく気にしない子もいます」(西本医師)
「異所性蒙古斑」は早く治療を受けたほうが効果的
一方、保護者が気になる段階で早めに治療を受けたほうがいいあざもあります。お尻以外の場所にできる「異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)」です。
「異所性蒙古斑は特に、生後の早い段階での治療効果が顕著です。再発もほとんどありません。さらに自然に消失する可能性が低いので、お尻以外の場所に青いあざがあって気になる場合は早めの受診をおすすめします」(西本医師)
また皮膚がいちごの表面のようにモコモコと赤く盛り上がる乳児血管腫は、早く治療を受けたほうが、あとが残りにくいケースもあります。
「乳児血管腫は生後数日から数週間で出現して急速に大きくなっていき、6~12カ月後にピークを迎えます。その後は5~10歳ごろまでに自然に消えていくので治療は必要ないと言われてきました。しかし皮膚の盛り上がりが大きいと、赤みが消えたあとも皮膚のたるみだけが残ってしまうことがあります。ピークを迎える前に治療をしておくと、あとが残らないようにできる可能性があります」(西本医師)
乳児血管腫の治療には、色素レーザーを使用する方法と「プロプラノロール(商品名ヘマンジオルシロップ小児用)」という内服薬を使用する方法があります。ヘマンジオルシロップは血管腫の増殖を抑え、皮膚が盛り上がらないようにする効果を期待できますが、高血圧の治療に使われていた薬を使用しているので、血圧を下げるなどの副作用があります。このため、1週間程度入院して副作用などの問題がないことを確認したのちに、約6カ月間服用します。
「通常は軽症であればレーザー治療、皮膚の盛り上がりが大きい場合はヘマンジオルシロップを選択します」(西本医師)
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