地球環境や社会問題を解決すべく、10歳にして株式会社を設立した細井愛茉(えま)さん。行動力と企画力が抜群の愛茉さんの母親の亜矢子さんに、子育てについて伺いました。「AERA with Kids2023年冬号」(朝日新聞出版)からご紹介します。

MENU コロナ禍にSDGsや社会活動に興味を持つ 起業したいと事業計画書を手渡され… 愛情の言葉を注いで、ためてあげる わが家の子育て 3つのポイント

コロナ禍にSDGsや社会活動に興味を持つ

 バレエに夢中で、中学受験を目指して塾に通っていた愛茉の生活が一転したのが小学3年生のとき。コロナ禍で学校も習い事もお休みになったため、SOZOWというオンラインスクールに参加してみました。

 そこで起業、SDGsについて学習したり、社会で活躍する方のお話を聞いたりするなかで、環境問題は深刻な状況にあり「未来を担う私たちこそ、今すぐ行動しないとまずいんじゃない?」と考えるようになったようです。

 早速始めたのが近所のゴミ拾い。さらに、湘南の海にマイクロプラスチックゴミを拾いに行きました。するとゴミが意外とキレイで。アート作品として、新たな価値を生み出せないかと考えたのです。

湘南のビーチでイベント「サムトル」を開催した際の様子。参加者は収集したゴミを専用アプリ通貨「ゴーミー」に交換。地域の特産品と交換したり、廃材アート作りワークショップに参加したりして楽しんだ。多くの参加者が「また来ます」と声をかけてくれたという。

起業したいと事業計画書を手渡され…

 続けてSOZOWでSDGs部を立ち上げアースデイ東京に出展。グッズを販売したり、ワークショップを開催したりして手応えを感じるなかで、今後はオリジナルの企画で活動したい、そのために株式会社を設立したいと、愛茉が事業計画書を書いてきたのです。

 正直戸惑いました。私自身起業経験なんてありませんし、中学受験もやめることになります。でもその文面から、地球環境や社会問題を解決したいという真摯な思いが伝わってきたんです。株式会社にこだわるのも、利益の再配分や雇用を考えてのことでした。

 私は以前より幼児教育に関わっていて、子どもたちにはありのままでいてほしい、キラリと光るものを見つけて伸ばしてあげたいと思ってきました。ではわが子に関しては?と考えたときに、「やる!」という選択肢しかなくて。起業を応援しようと決意したのです。

 その後親子で話し合いを重ね、事業計画をブラッシュアップし、株式会社moco Earthを立ち上げました。

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阿部桃子
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