例えば、なぜ大きな声を出すのか? それは、「自分の思いを親に届けたい」、あるいは愛情の延長にある欲求としての表現なのかもしれない。何かに困っていて、アラートを出しているのかもしれません。
次に、お子さんの言動を「問題」と解釈した自分は、何を願望として持っていたのか? 親のなかにある無意識の「欲求・願望・決めつけ・焦り・恐怖心・不安感」を見つめて、それを選択する必要があるかどうかを考えます。「必要」と判断したら、子どもをどう助ければいいかを考えればいい。「不必要」だと思うなら、それは悩みではなくなりますよね。例えば、この漢字5個を今晩中に覚えなければいけないか? 眠そうだよね、明日の朝、元気な時にやればいいか、となれば問題は解決するわけです。
「身体」の表現には「身体」で応える
――子どもの言動が理解できたら、どのように対応を考えればいいのでしょう?
もう一つ知っておきたいのは、たとえば「かんしゃく」というのは、お子さんが「感情」「思い」を表現する時に、言葉に置き換えて伝える術を持っていない、もしくは言葉に乗せる余裕もないくらい感情がほとばしっている、いわば「身体感覚」がものすごく響いている状態なんです。こういった場合は、身体で応えるのがいいでしょう。お子さんの理性や言葉が動いてる時は理論で説明してもいいのですが、身体には身体でしか応えられません。このことを知っているだけで、ものすごく楽になりますよ。
遊んでいる姿に「子どもの本質」が見える
――子どもへの理解を深めるには、どんな方法がありますか?
僕がおすすめしているのは、お子さんが自由に遊んでいる時の姿をしっかり観察すること。実は、遊びに楽しく浸っている姿に、その子が力を一番発揮しやすく、最も学びやすく、心が安定する秘訣が全部詰まっているんです。そのシーンを覚えておいて、親が困った状態が起きた時に「遊んでいた時のシーンで、何か使える方法はないかな」と思い出すんです。
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