しかもキツネの子よりもハードルが高いのは、相手は仲良しのお友だちではなく、会ったこともない見ず知らずの子たちというところです。宝物の絵本を手放したくない気持ちと、大雨で大変な思いをしている村の子どもたちに、汚れがある絵本なんて贈りたくない気持ち。クマタは相反する自分の気持ちに向き合い、自分自身で考え抜いた末に、大好きな絵本を手放すことにします。クマタにとっては苦渋の決断となりましたが、最後には思いがけない出来事が起こり、クマタも読者もあたたかい気持ちで胸がいっぱいに。クマタが一生懸命に悩み考える姿を通して、誰かを思いやる心の尊さに触れることができます。
どんな子におすすめ?
自分の気持ちを曲げられず、意固地になってしまいがちな子、家族やお友だちの気持ちを想像するのが苦手な子に読んでみてほしい一冊です。大事な絵本を絶対に手放したくないと思っていたクマタが、なぜ村の子たちに絵本を贈ることにしたのか。ひとり読みはもちろん、親子で読んでクマタの心の成長についていっしょに話してみるのもおすすめです。
一さつの おくりもの (どうわがいっぱい)
森山 京,鴨下 潤
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