小6人口の減少が続くなか、首都圏の中学受験率が調査開始以来初の18%超えを記録。今年の受験生にはどんな傾向があったのか、専門家を取材した。AERA 2024年3月4日号より。

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 中学受験が活況を呈している。

 首都圏模試センターによると、2024年度の首都圏私立・国立中学受験者数は約5万2400人で、前年より200人減少。だがこれは首都圏の小6が5300人減少したためで、受験率としては逆に18.1%へ上昇した。同センターが三十数年前に調査を開始して以来、18%超えは初めてだという。

 森上教育研究所アソシエイトの高橋真実さんは中学受験の活況を「コロナ禍において私立がオンライン授業をいち早く立ち上げ、心のケアをていねいにおこなったことで信頼が深まった」と話す。さらに私立はSNSを駆使して情報を発信。生徒目線による日常生活を取り入れることで、学校をより身近に感じられるようにしたという。

 今年の特徴は難関校は志願者数を減らした学校が多く、ボリュームゾーンの中堅校で志願者が増えていることだ。男子御三家の開成は志願者が1289人から1259人に、麻布は918人から826人に、武蔵は601人から546人に減少。神奈川でも栄光が816人から705人、聖光が1622人から1588人に減少した。安田教育研究所代表の安田理さんは「東京の男子御三家がそろって減るのはめずらしい」という。

東大理IIIに5人合格

 開成は24年度の出願条件にこれまで「学校教育法第1条に定める学校の卒業見込み生」としてきた項目を削除した。これによってインターナショナルスクールなどの卒業生にも門戸を開いたことになる。

「受験に影響を与えることはありませんでしたが、最難関校が多様性を踏まえた入試改革を行った意義は大きい」(サピックス教育事業本部本部長の広野雅明さん)

 難関校で志願者が増加したのは611人から644人の駒場東邦と、2221人から2315人の早稲田。駒場東邦は23年度に東大合格者を72人輩出し、そのうち理科三類に5人合格。早稲田は東大に39人合格し、うち3人は推薦入試だった。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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