韓国の囲碁界は日本以上に弱肉強食
4年前のプロ入りのとき、①中学生のうちにタイトルを取る②世界で戦える棋士になる、を目標に挙げていた。①を果たした今、②に近づくために韓国に渡る。
韓国は1990年代、当時の囲碁最強国だった日本に追いつき追い越し、何人もの世界チャンピオンを生みだしてきた。現在は最大のライバルの中国としのぎを削っている。棋士の成長の一番の場が強者との対局であることは、囲碁界の常識だ。
韓国での修業経験も移籍を後押しした。道場では平日も、朝から晩まで碁に打ち込む子どもたちがいた。家族ぐるみで地方からソウルに移って入門する子も何人もいた。厳しい競争社会で成長を遂げたという自信がある。
韓国の囲碁界は日本以上に弱肉強食の世界だ。プロ棋戦の予選は日本のような対局料が出ず、収入を得られない棋士は少なくないという。初めのうちは好成績を挙げるのは難しいかもしれない。すべて承知のうえだ。
「これまで以上に厳しい環境で、さらなる努力をしたい」。2024年3月2日、15歳の誕生日に韓国棋院の棋士になる。
(解説/朝日新聞文化部・大出公二)
ジュニアエラ 2024年 1月号 [雑誌]
朝日新聞出版