仲邑菫(なかむらすみれ)女流棋聖(14歳)が、活動の場を韓国に移しました。日本の女性棋士のなかではすでに一流棋士の仲間入りを果たしていますが、さらなる強さを求めて現在の囲碁最強国に飛び込みます。小中学生向けニュース誌「ジュニアエラ」1月号(朝日新聞出版)から解説します。

MENU 小4で「天才少女」として注目される 韓国の囲碁界は日本以上に弱肉強食

小4で「天才少女」として注目される

 囲碁史上最年少のタイトルホルダー、中学3年生の仲邑菫女流棋聖(14歳)が、2024年3月に活動の場を韓国に移した。日本の女性棋士のなかではすでに一流棋士の仲間入りを果たしているが、さらなる強さを求めて現在の囲碁最強国に飛び込む。

 仲邑さんは19年4月、小学5年生で棋士団体である日本棋院のプロ棋士になった。10歳でのプロ入りは当時の国内史上最年少記録。日本棋院は「世界一を狙える大器」として、通常のプロ試験を受けなくてもプロ入りできる「英才枠」という特例の制度をつくって、仲邑さんを迎えた。

 仲邑さんの評価は、日本よりも先に韓国で高まっていた。小学2年のときから韓国の道場で修業を重ねてきた。小学4年のとき、難関の韓国棋院のプロ候補生になり、「天才少女」として注目された。評判を聞いた日本棋院が獲得に乗りだし、スカウトしたのだ。

 プロ入り後の活躍は周囲の想像を超えた。中学1年のとき女流名人リーグで優勝して史上最年少のタイトル挑戦者に。中学2年のとき女流棋聖を獲得し、史上最年少の13歳でタイトルホルダーになった。その地位も名誉もなげうって、韓国で一からやり直すという。

 韓国棋院は23年10月26日、仲邑さんの日本棋院からの移籍申請を承認した。4日後に記者会見した仲邑さんは「より高いレベルの環境で勉強することが今の私には必要だと思い、こうした決断に至りました」と移籍の理由を話した。

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