■大学入試は変わっても、中学入試はまだ従来型中心
矢萩:新しいことにはそれなりのリスクも可能性もある。では新しくないことには、リスクも可能性も低いのかっていうと、やっぱりどちらもあるんです、それぞれ種類が違うだけで。ただし、いまの社会の流れのスピードを考えるのならば、現状では今までのやり方のほうがデメリットが大きいと思います。というのは、大学や企業は完全に舵切りが始まっているからです。
安浪:大学入試も大きく変わっていますしね。一方、中学入試の問題を見ると従来型が大部分を占めていることからも、中学高校はまだ新しい流れに対応し切れてないところが多いということですね。
矢萩:はい。ただ、小・中・高校は対応がとにかく遅い。まず教科書って検定を通って使えるようになるまでに時間がかかるんですよ。なので10年とかそれ以上前のことが教科書になって、それがスタンダードになっているイメージです。もちろん、最近のAIの状況だとかそんなことは何も教科書に反映されていません。もう一つが教師の経験やスキルにも問題があって。やはりいま社会の一線にいる人じゃないとそのスピード感はわからないですよね。そういった理由で、小中高というのはだいぶ遅い状態にあります。そのような前提の中でわが子は、従来型のほうが合っているのか、新しいほうがあっていそうなのか、というところから考えないといけない。
安浪:学校説明会で「いまの時代に合った新しい教育を提供しています」とプレゼンする学校もありますが、その説明と実際の教育現場が一致しているかどうかはわかりません。だからこそ、やはり自分の目で学校を見て、確かめることが大事だと思います。大人や選ばれた優秀な生徒が説明する学校説明会よりも、文化祭など生徒主体の学校イベントに行くと生徒たちの素の姿が見られますよね。みんなが元気にワイワイやっているのか、隅のほうでつまらなさそうにスマホいじっている子がいるのか、とか。見るポイントがたくさんあるかなと思います。
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