矢萩:あと僕がよく言っているのが、登下校を見に行きましょう、ということ。まさに生徒たちの雰囲気が反映されています。その学校に6年も通うわけじゃないですか。その場所にわが子をジョインさせるわけですから、そこの雰囲気が合うかどうかっていうのはとても大事です。

安浪:でも、皆さん学校を見に行くと、肌感覚の公約数を探ろうとするんですよね。つまり、この学校を私はこう思うけど、他に見に行ったママさんとかパパさんはどう感じたかな?とか、塾の先生はなんて言うかな?とか、きょうこ先生はどう思いますか?とか(笑)。同じような印象を抱いてくれたということに安心しようとする傾向がありますね。ただ、当たり前ですが、家庭ごと、子どもごとに感想は違うわけです。すごく自由な校風で有名な学校に、いままで何人もの親子が見学に行ったんですが、「あれだけ自由でチャラいのはないです」と言っているご家庭もあるし、「自由に見えるけど、みんなものすごくしっかりしてた」と言うご家庭もあります。

矢萩:人によって見え方捉え方は違うから、何が正しいとかじゃなくって、自分たちの感覚を信じて選ぶのが結局はいいと思うんですよね。

■学校のカラーに染めようとするのは危険

安浪:全てが素晴らしい桃源郷のような学校なんてないですしね。そして子どもって結構たくましいし、賢いですよ。管理が厳しい学校に行った子は、みんな先生の前ではハイハイ、と言いながら裏でやりたい放題やってるよ、と。子どもは柔軟に居場所を求めて生きていく力を持っているので、周りの大人たちがそれを奪わなければ大丈夫だと思うんです。学校のカラーに無理やり染めようとするのが一番危険じゃないかな。

矢萩: そうですね。あとは機会があったら先生と話をしてみることですね。流れに乗って、トレンドだからこういう教育を入れてますではなくて、これをやることによって、生徒がどうなることを目指していて、そのためにこうやってナビゲートしていきますよ、ということがしっかり語れるかどうか。何か質問したときにどう返ってくるのかでわかります。台本を読んでいるような答えが返ってくるだけなのか、本当にわかったうえで返してくれているのかは、ちょっと対話をすればわかるものです。先生と話をして違和感がないかどうかは大事です。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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