齊藤さんに、「小学3年生まで」「小学4~6年生」で読むのに最適な本を紹介してもらった。
小学3年生までに読みたい本
『ココロ屋 つむぎのなやみ』梨屋アリエ・著 文研出版 1,430円
「ココロを入れかえなさい」と怒られた男の子を主人公にした『ココロ屋』の第2弾で、2021年の「さぴあ作文コンクール」課題図書にもなっていた。「つむぎちゃんという女の子がいろいろなココロを経験して、最終的には自分のココロが一番だと気づき、それを大切に育てていくという内容です」
『つくしちゃんとおねえちゃん』いとうみく・著 福音館書店 1,320円
2021年3月に発売された作品で、温かみのある挿絵も楽しめる。足の悪い「おねえちゃん」と妹の「つくしちゃん」の日常と揺れ動く気持ちを描いている。「著者のいとうみくさんはテーマを掘り下げるのがお上手です。高学年向けで少し重いテーマの『朔と新』はよく中学入試で出題されています」
『みえるとか みえないとか』ヨシタケシンスケ、伊藤亜紗・著 アリス館 1,540円
宇宙飛行士の「ぼく」が、後ろにも目がついている三つ目の宇宙人が住む星に降り立ち、両者の交流を通じて「当たり前とは何か」を考える。「テーマは共生、ノーマライゼーション、多様性など。芯の部分を考えるとすごく深い内容ですし、個性や他者との違いについて親子が会話をするきっかけにもなります」
小学4~6年生で読みたい本
『答えは風のなか』重松 清・著 朝日出版社 1,815円
中学入試でよく扱われる『きみの町で』の続編で、21年12月に発売された。日々の疑問について主人公とともに体験できる10の物語で構成される。人気作家のため今後、出題される可能性が高い。「主人公の心情描写がせりふ調で書かれていて、入試ではそこが問題として取り上げられやすいです」
『読書する人だけがたどり着ける場所』齋藤 孝・著 SBクリエイティブ 880円
ネット時代に「本を読むことの大切さ」を問う作品。本書が23年度の成蹊中学校入試で出題されるなど、著者の作品が毎年、多くの中学校の入試で出題される。「論旨がわかりやすく、接続詞の使い方も美しいので論説的な文章を読む練習にもなりますし、語りかけ口調だから親しみやすいです」
『ラベンダーとソプラノ』額賀 澪・著 岩崎書店 1,650円
成人向けの作品を書いてきた著者が初めて手がけた児童書。合唱クラブに所属する小学6年生の少女が、頑張ることの意味やクラブとの向き合い方について考えていく。22年9月に発売されたばかりだが、「たくさんの国語の先生が絶賛しているので、今後、入試で出題される可能性があります」
(文・池田敏明)
朝日新聞出版