中学受験を描いたドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」(日本テレビ系)で塾講師役の出演も記憶に新しい、NEWSの加藤シゲアキさん。自身も中学受験を経て、私立中高一貫校から大学まで学んだ。アイドルとして、また作家としても活躍する今、中学受験と学生生活についてを振り返り、6月30日発売のAERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2023』(朝日新聞出版)で語った。

MENU ■成績下降の苦い思い出が忙しくても勉強に向き合う習慣へとつながった ■特別扱いはなし。友人との出会いは財産

* * *

「今もときどき友だちと話すんです。もし自分に子どもが生まれたら中学受験をさせる?って」

 そう語る加藤シゲアキさんも、かつては中学受験生だった。

「うまくいくかどうかは別として、やってみることはいい経験になる、というのがぼくの意見。実際、中学受験は自分の力を客観視する姿勢や、知的好奇心、積極性などが身につくきっかけになったと思います」

 所属するアイドルグループ「NEWS」は、来年が結成20周年。2020年に発表した小説『オルタネート』は吉川英治文学新人賞を受賞し、直木賞候補にも選出されるなど話題を集めた。今年は自身の小説を舞台化した作品で脚本を担当し、岸田國士戯曲賞の最終候補に残るなど、さらに活躍の場を広げている。

■成績下降の苦い思い出が忙しくても勉強に向き合う習慣へとつながった

 加藤さんが友だちに誘われて中学受験塾に通い始めたのは、小学5年生の終わり。やや遅めのスタートだったが、両親は加藤さんの意思を尊重してくれた。

「今思えば宿題はすごい量でしたが、もともと勉強は好きでしたし、辛さは感じませんでした。仕事を持ちながら塾の送迎や夜食作りをしてくれた母のほうが、ぼくより大変だったかもしれません」

 目標から逆算してタスクを洗い出し、一つひとつこなしていくという受験勉強のプロセスは「昔から物事を論理的に考えるところがあった」という加藤さんの性格に合っていた。真面目な取り組みが功を奏し、入塾当初は下から2番目だったクラスは、いつしか上から2番目に。だがジャニーズ事務所に入所し、芸能活動を開始すると、一気に成績は下がった。

「予想はしていましたが、やはりショックでしたね。少し休んだだけでこんなに下がるということは、周りがそれだけ力をつけているということ。ぼくも受験はあきらめたくなかったので、仕事を始めたばかりではありましたが、いったん芸能活動を中断し、受験勉強に専念させてほしいと事務所に伝えました」

 受験終了後の活動再開を視野に入れ、志望校は中高一貫の進学校から大学付属校に変更。加藤さんの思い切った決断を、当時の社長だったジャニー喜多川さんは応援してくれたという。

次のページへ入学後、自分に課したルールとは?
著者 開く閉じる
木下昌子
木下昌子
1 2