小学2年生で習う「九九」。独特な言い回しや数の多さに、「なかなか覚えられない」という声も聞きます。九九を効果的に、楽しく学ぶにはどうしたらいいのでしょうか。個別学習塾「TWO-WAY」代表で、算数オリンピックの作問なども手掛けるいのうえきゅうさんに聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids23年冬号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【図版】九九表には秘密がいっぱい!親子でいくつ見つけられる?6の段からは、焦らずゆっくり覚えよう!
「うちの子、まだ7の段が言えないみたい」「どうにか暗記したようだけど、それだけで大丈夫?」
2年生から始まる九九の学習。見守る大人は、ついハラハラしてしまいます。
「九九の暗唱を焦る必要はありません。それよりも、かけ算を通して『数って面白いな』と感じられるようなサポートを心がけましょう」
そう呼びかけるのは、個別学習塾「TWO︲WAY」代表のいのうえきゅうさんです。
「そもそも九九を習う小学2年生は、大人に比べて口がうまく回らないことも多い。『しちしちしじゅうく』など、舌をかみそうな独特の言い回しは、大人の想像以上にエネルギーを使うもの。特に6の段からの暗記は、焦らずゆっくり、がポイントです」
暗唱より大切なのは、かけ算の概念をしっかり理解することだそう。
「積み木をたて横に並べて、いろんな長方形を作ってみましょう。手を動かすうちに、『5×3と3×5の答えは同じなんだな』『5×3は5+5+5のこと。つまり、かけ算は足し算の仲間なんだ!』といったかけ算の概念がつかめてきます」
九九表を眺めて秘密を発見する感動と出合おう
九九表に潜む「秘密」探しも効果的なのだそう。
「例えば、『5の段は1の位が5と0の繰り返しだ』など、小さなことでも『自分で見つけた!』『わかった!』という経験は、感動につながります。こうした体験を重ねて、数の面白さに目覚めてほしいですね」
ゲーム感覚で九九を身につけるパズルも数多く作問しているいのうえさん。
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