Q)マイナカードの何が問題になっているの?

 本来なら便利になるはずのマイナカードですが、現在はさまざまなトラブルも生じています。

 たとえば、コンビニで住民票や印鑑登録証明書をとろうとしたら、別の人のものが出てきた、マイナ保険証に別の人の情報がひもづけられていた、公金を受け取るための銀行口座が別の人のものになっていた、受取口座に家族名義の口座が登録されていたなどです。

 自分のものではない、他の人の情報とひもづけられてしまったことで、他の人に自分の大事な情報がわかってしまう、適切な医療が受けられない、受け取るはずのお金が別の人のところにいってしまうといったことが起きているのです。

 原因は設計したシステムの不備だったり、パソコン操作の人為的なミスだったり、手作業入力によるミスだったりしますが、トラブルがたくさん出てきていることで、健康状態や資産状況などの個人情報が漏れるのではないか、役に立たないじゃないかといった不信感が国民のなかに広がっています。

Q)これからどうなっていくの?

A)当面の大きな問題が保険証の一本化です。政府は24年秋に現在の保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化するとしています。そのための法律(改正マイナンバー法)も成立させました。

 けれども保険証廃止には反対の声もあります。たとえば高齢者や認知症の人は、そもそも自分でマイナカードを取得すること自体が困難です。その後の管理もむずかしいでしょう。マイナ保険証のトラブルを受けて不信の声も大きくなっています。

 政府は、マイナ保険証を持たない人には、保険証に代わる「資格確認書」の交付を5年間に延長することや、マイナンバー情報の総点検を進めていますが、それなら保険証制度を廃止する必要はないじゃないか、来年秋までの1年間で情報が見直せるのか、という声は減りません。

 海外ではマイナンバー制度のようなシステムが普及していて、長い目で見れば日本にも必要なシステムといえるでしょう。マイナカードを持つことで利便性も確かに高まります。

NEXT国民の信頼回復が必要
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