安浪:このご質問からはそんなに浮かび上がってきてはいませんが、やはりお金のこともあると思うんですよね。勉強しなくても塾代は月々発生してるわけじゃないですか。お金も時間も潤沢にあるなら、単なる経験としての受験ってすごくいいと思うんです。でもたぶん、お金は親が払って環境は整えているのに勉強やらない、と子どもが言っているのを認めていいのか、それとも経験として是とするのか、そんな葛藤もあるんじゃないでしょうか。

矢萩:なるほど。僕はこの方のご質問で注目したほうがいいなと思うところは「暗記は嫌いだからやらないなど勉強もほとんどやりません」とおっしゃっているところです。ということは暗記じゃないものは何かしら前向きにやっているんだと思うんですよ。ゼロじゃない。そこをもうちょっとわかってあげて、そのなかで嫌いなものはもうやらなくていいけれど、やりたいことはこのテキスト買ってみようか、塾の授業も残そうか、といった調整ができるのであれば、それはありかなと思いますね。

安浪:中学受験って子どもによってすごく成長の度合いが違うから、本当にタイミングだと思います。受験やめない、って言っている息子さんの本心もどこにあるかちょっとわからないですしね。偏差値35っていうことはたぶん塾の授業についていけてなくて、宿題も1人でできない状態だと思うんです。そもそもどうやって勉強していいのかわからないのかもしれない。ですから本人が本当は勉強ができるようになりたいと思っているなら、今からでもイチからそこをちゃんと教えてあげないとダメなんですよ。息子さんを1時間ぐらい貸していただいたら、じっくり本音を聞き出せるのに、と思います(笑)。

塾に来ていること自体「えらい」

矢萩:僕も昔、大手塾で下位クラスを担当していたことがあるのですが、そういうクラスの子たちって確かにガリガリやってる子に比べたら全然ノートも取らないし、授業中に遊び始めたり、ということもあるのですが、その子なりに頑張ってるな、と思うことも多かったんです。問いかけに対して考えたり、自分なりに意見を言ってみたり。問題は解けていないかもしれないけれど、全くやってない、ゼロの子なんてほとんど見ませんでした。本当は受験する時期も今じゃないのかもしれないのに頑張っているな、塾に来ていること自体えらいな、と思っていました。そういうところも評価してあげてほしいです。

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