「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。今回は小6受験生の親として、秋以降のメンタルの保ち方についてのご相談です。
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安浪:私が「鬼が出てくる」と言うのはだいたい10月か11月なんですよ。この頃は1年で一番しんどいんです。本番までまだ3、4ヶ月あるので過去問はやりたいし、テストの見直しもしたい、弱点補強もしたい、といった感じでやりたいことがどんどん増える。これが直前期になると、残された日数に限りが見えてくるので、やることがストーンと整理されていくのですが、この頃はまだ親としてやりたいことは全部やりたい、やることを間引けない状態なんです。当然、消化不良でどんどん貯まってしまう。子どもは子どもで運動会や学校の行事が重なって疲れてくるんですね。親の焦りと子どもの実情が噛み合わなくなっているので、毎月ある模試も当然思うような結果が出ない。そうなると知らず知らずのうちに鬼が出てしまうんです。
矢萩:鬼、ですか…。
次のページへ鬼が出たまま本番に突入すると…
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安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。
矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。