矢萩:確かに場所を変えるっていうのは気分を変えるのに最適です。
安浪:子どもも自分の立場をよく理解していて、「元気を充電するために息抜きしようか」と提案すると、「旅行に行きたい」なんてとても言えないけれど「ショッピングモールでママとぶらぶらしてアイス食べたい」みたいな、かわいらしい希望を言ってきたりしますよ。
矢萩:子どもは変化がないと飽きる、というお話がありましたが、授業も毎日繰り返しで飽きている子も多いと思うのです。だからこそ、その繰り返しに意味があることをちょこちょこ伝えてあげるといいと思います。例えば「この問題、何度か似たような問題をやったけれど、前より早く解けるようになったね」とか。繰り返したことによって成長したということを実感させてあげることです。できなかったところを指摘するんじゃなくて、成長したところにフォーカスして声かけしていく感じです。
目の前のニンジン作戦
安浪:ただ疲れて惰性モードに入ると、1回目と2回目はできていたのに、3回目でできなくなったり、とにかくもうイヤーって、なっちゃう子もいますね。後ろに向かって走ってる、みたいな。そんな時はとても即物的なアイデアではありますけれど、宿題ひとつやったら1ポイント、夏休み中で何ポイントゲットできたら〇〇しよう、みたいな“目の前のニンジン作戦”で走らせることもあります。それは本当に意味のある勉強なのか、と言われると非常に難しいところではありますが、とりあえず夏をそこそこ元気で走り切るのが第一目的だと考えています。
矢萩:今、疲れ切って逆走しちゃうような子は、疲れ以外に決定的な原因があるんですよ。一つはやっていることと合っていない。子どもの成長段階や理解力と、やっていることのレベル感がかみ合っていない。そしてもう一つ大きいのが、先生との相性が悪い。もし先生と相性がよければ乗り越えられることでも、先生と相性が悪いともういいやってなってしまうことはよくあります。もし両方当てはまっているようなら何かを変えたほうがいいかもしれないです。いまさら夏期講習の内容を変えることは難しいかもしれませんが、今のうちに何らかの対策をしておかないと、無理やりやらせても秋以降大変だと思うんですよね。今まで気力体力で何とか乗り切れていたズレやストレスが、この時期、わかりやすく露呈してきた、いうふうに僕は捉えます。