今年は、各社の山梨ヌーボーが足りなくなるほどの人気ぶりだという。

「なかでも山梨県を代表する『甲州』と『マスカット・ベーリーA』というブドウから造られるワインは、日本の食卓にもよくマッチするため、多くの人々に愛されています。このような流れを受け、日本ワインへの人気は、年々大きくなっています。ボージョレに限った話ではなく、シャンパーニュなどの輸入ワインが軒並み値上がりしているなか、消費者も値ごろ感のある日本ワインへとシフトしているのではないでしょうか」

 日本ワインの市場は年々拡大している。国税庁によると、日本ワインを含む果実酒の生産量は、1989年には4万6千キロリットルだったのに対し、2018年には9万6千キロリットルと2倍以上に。新規参入するワイナリーも、20年に前年比38増、21年に同44増と、年間数十軒単位で増え続けている。

 ワインの原料となるブドウも、国内で幅広い品種が生産されている。「甲州」や「巨峰」などの国産品種だけでなく、海外の著名品種である白ワインの「シャルドネ」「デラウェア」「ソーヴィニヨン・ブラン」から、赤ワインの「カベルネ・ソーヴィニヨン」「メルロー」、さらには「ピノ・ノワール」まで、30種類以上ものブドウが作られている。

 日本ワインというと、「おいしくない」というイメージを持つ人もいるだろう。その理由をNORIZOさんが解説する。

「1980年代、日本では『イタメシ』ブームとともにワインブームがやってきました。輸入ワインがたくさん入ってきて、多くの日本人は、ここで海外ワインの味を覚えました。このころ国内で造られていたワインは、造りはじめということもあり、味の評価は芳しくありませんでした。当時は『お土産ワイン』『町おこしワイン』として購入する人がほとんどで、ラベルが可愛かったり、郷土感あふれるものだったりとビジュアル重視で、味は二の次という面もありました。そのころの記憶で『おいしくない』という印象を持つ人がいるのではないでしょうか」

 だが、特に10年ほど前から日本ワインの原料となるブドウの質が上がってきて、「日本ワインは格段においしくなっている」と、NORIZOさんは言う。

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