「ドラマを見て医師になりたくなった」「科学に興味を持ったからもっと実験したい」「3Dプリンタを使える学校に行きたい」など、自分の興味や夢を見つけて、そのための学びに強い学校を希望しているケースが多く、受験生本人が主体的で、本気です。そして、受験勉強に対しても「やらされた」経験がないためネガティブな印象や苦手意識がなく、発達段階においても論理的に抽象的にものを考えられる段階になっているので、驚くほど成長します。
大手塾が進めるような難関校の4科受験に限定すると、覚えなければいけないことが多くハードルが高いのは事実ですが、2科目受験や、思考力型、適性検査型であれば、やり方次第で短期間でも十分に実力を伸ばせます。
親が「今さら遅い」などと言わず、子どもがやる気になったときには耳を傾け、応援する姿勢をとってあげてください。
■「やらされる受験勉強」がもたらすマイナスの影響
「何年生から受験勉強させるのがいいのでしょうか?」
中学受験を考える保護者からよく質問されることです。
「遅くとも小学校3年生から入塾しなければ志望校には合格できない」と、中学受験業界ではいつからかまことしやかにそう喧伝されるようになりました。中学受験の激戦区である東京都内や横浜では「3年生で入塾するときに空きがないと困るから、2年生や1年生で塾へ入れる」ということさえあたりまえになりつつあります。
しかし、私自身の経験からも、教育業界の仲間の話からも、子どもが本当に受験を意識して緊張感を持ち始めるのは6年生の12月ぐらいです。つまり、多くの子どもにとってリアリティを持って想像できるのは、2か月くらい先までがやっとだということです。
それなのに、子どもたちが低学年からでも受験勉強に向かうのはなぜか。それは、リアリティがないのに、親の力で頑張らせることができてしまうからです。
子どもが主体的でなかったとしても、成績が上がれば、保護者は「塾に通わせた意味があった」「受験勉強を始めてよかった」と思いがちです。実のところ子ども本人はピンと来ていないし、受験勉強の意味も価値もわかっていないことが多いにもかかわらずです。
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