男子校でしっかりと説明するのは、やはり(1)のコンドームです。コンドームは、裏表を間違えず、破らずに正しく装着できないと意味がないので、一に練習、二に練習なのです。膣外射精なんてもってのほか。膣外射精は避妊なしと同じといわれます。男子には、妊娠を望んでいないのにコンドームなしで性行為を行うような責任感のない人にはなってほしくないし、おつき合いしなくてもいいと思います。

 以前、日本家族計画協会が約6千人の10~50代を対象に「コンドームを使うことをどう考えていますか?」とアンケートをとりました。「マナーである」「安心できる」といった回答のほか、「相手からの愛情・責任を感じる」という女性の回答も多く見られました。男子の皆さんには、コンドームの使用が「僕は、君を大切にしているよ」という相手への気持ちの表れであることを覚えておいてほしいですね。

10~50代の約6千人を対象にした「コンドームを使うことをどう考えていますか?」というアンケートの結果(日本家族計画協会 第8回「男女の生活と意識に関する調査報告書2016年~日本人の性意識・性行動~」から)
10~50代の約6千人を対象にした「コンドームを使うことをどう考えていますか?」というアンケートの結果(日本家族計画協会 第8回「男女の生活と意識に関する調査報告書2016年~日本人の性意識・性行動~」から)

●性行為のあと、「生理がこない」ときはどうする?

 妊娠したかどうかは、性行為があった日から3週間できっちりとわかります。これも大切なライフスキルです。妊娠検査薬ではっきりと判定できるので、予定していた生理がこないようなら、チェックしてみましょう。私は、男子には、彼女が「生理がこない」と悩んでいるなら「いっしょに検査してみよう」と言ってあげよう、と伝えています。

 生理は、ストレスで周期が乱れることも多々あります。「生理がこない、妊娠してたら困る。どうしよう。やばい……」と女の子が悩むことで生理がとまってしまうこともあります。そして、検査をして陰性とわかった翌日に生理がきた、ということもよくある話。

 妊娠には、正常な妊娠とそうでない妊娠があります。異常な妊娠の場合、女性の命にかかわることがあるので、妊娠が判明したらなるべく早く産婦人科を受診することが大切なのです。そして、産むか産まないかをいっしょに考えましょう。

 講演では、「彼女が生理痛がひどくてつらそうです。これに対して、痛み止めの薬はどうすべきだと思いますか?」とクイズを出します。答えは(1)痛み止めは使ってはいけない (2)「もうがまんできない」というところで服用する (3)すぐに服用するべき、の3択のうち、(3)を選ぶ生徒が多く見られます。その通り! そんなとき「いまどきのティーンズ男子、やさしいな」とうれしくなります。きっと「薬、持ってないの? 買ってきてあげるよ」と走ってくれることでしょう。

 おつき合いをするようになったら、こんなふうに生理痛はもちろん、避妊や妊娠、性感染症についても、ちゃんと話し合える二人であってほしいと思います。それが大切な相手を思いやり、守ることにつながるからです。これから、さまざまな出会いやおつき合いを経験するティーンズに、しっかり知っておいてほしいですね。

「『妊娠していなくても、中高生のうちから産婦人科に行こう』と性教育の専門家が呼びかける理由とは?」から続く)

(構成/三宅智佳<AERA with Kids編集部>)

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三宅智佳
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