また「せっかく今までやってきたのだから」などと考えがちですが、最低限、本人が前向きになれないのであれば、通い続ける意味はありません。相性の悪い参考書をずるずる使い続けるのも同様で、思い切って「損切り」することは多くの学習にとって有用です。

 成績が上がらないことを理由に塾を変える場合に気をつけたいのが、転塾先が短期間でも基礎からしっかりと積み上げてくれるかどうかです。実際、大手塾や集団授業の塾ではなかなか対応してもらえません。しかし、だからと言って安易に個別指導や家庭教師に飛びつくのもお勧めできません。特に内容が基礎からの場合、経験の少ない大学生などが指導に当たることが多く、専門性も低くなりがちです。残り少ない時間を悔いなく過ごすためにも焦って決めてしまわず、複数の候補のなかから信頼できて相性のいい塾や講師を選びたいところです。

■子どもが受験直前に迷ったら、親はどうする?

 大学受験であれば、ある程度本人任せになっているので、たとえ直前期に悩み、選択に失敗しても、それを学びとして成長することができます。しかし、中学受験の場合、決定権は圧倒的に保護者にあります。いくら保護者が「自分で決めなさい」と言ったところで、子どもは親の顔色を窺うし、安易に変更を提言できるほどの情報も論理的な判断力も持たない場合がほとんどです。もしそれらが主体的にできる程度に成熟していれば、そもそも直前期になって悩んだりはしません。

 しかし、たとえ主体的であっても、自信がない・不合格になりたくないという気持ちが勝ってしまい、及び腰になる受験生も少なくありません。直前期に悩んでいる受験生にはある程度共通する特徴があります。「そもそもなぜ中学受験をしようと思ったのか?」という問いに理路整然と答えられないのです。答えを持っていたとしても、「制服がカワイイから」「親にやってみろと言われたから」「高校・大学受験をしたくないから」「友達が受けると言ったから」など非常に弱い、あるいは受け身の理由がほとんどです。

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