逆に、この時期にたとえ成績が思うように上がっていなくても、悩まずにやり切るタイプの受験生は「将来科学者になりたい」や「地元の中学には絶対に行きたくない」などポジティブであれ、ネガティブであれ、強い思いがあります。最初にどのような思いで始めたのか。それが明確にあれば、思い出すだけでもモチベーションをキープできます。また、受験をゴールではなくプロセスとして考えるならば、合格の経験も不合格の経験も同様に意義があります。失敗したくない・させたくないという理由で中学受験を断念してしまうことは、貴重な経験のチャンスを逃すだけでなく、逃げ癖をつけてしまいかねません。そのような状態で途中でやめてしまうことは、後ろめたさを残してしまうだけでなく、打たれ弱く、前向きになりにくくなってしまう可能性もあります。
大事なことは、残った時間でできる限りの努力をして、失敗してもいいから挑戦してみようと思えるように、周りの大人がサポートすることです。実際、中学受験生は入試直前まで伸びます。ひとつ覚えればひとつ分成長している。そういうテストでは見えない成長を認めてあげることで、本質的で内的なモチベーションを育てることができます。受験はプロセスであり、将来どこかで活きる経験のひとつと捉えて、長い目で見守ってあげる余裕を持ちたいところです。
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矢萩 邦彦,矢萩 邦彦
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