前野:私が分析した結果によると、四つの因子を満たしている人が幸せということがわかっています。まず「やってみよう」因子は、いきいきワクワクするような、やりたいことを持っていることです。夢や目標ですね。親にしても、子育てにだけ専念するのではなく、「自分がやりたいこと」を持っていることが大切です。

 二つ目は「ありがとう」因子です。家族や自分に関わる周りの人たちに感謝をすると、その人自身が幸せになることが科学的にわかっています。

星:「感謝されると幸せになる」のではなく、「人に感謝をすると、自分が幸せになる」ということですよね?

前野:そうです。感謝すると幸せになるのか、幸せだと感謝できるようになるのか、どちらが先か、という話ではなく、両方の要素があるんだと思います。幸せになると笑顔になる、笑顔でいると幸せになれる、と同じですね。

星:心理学的にも周囲に感謝ができている自分を認識すると、自己肯定感が上がって幸福度も上がると考えられています。いずれにしても「ありがとう」と伝えるだけですからシンプルですよね!

前野:まったくです。お金がかかるものではないし、これこそ知らないのはもったいない。感謝をすれば、人間関係もよくなるし。お子さんにもぜひ感謝をしてほしい。「私の子どもに生まれてきてくれてありがとう」と。これほどかけがえのない感謝はないですよ。

 子どもにキーッとなって怒りそうになるときも、「ありがとう」という気持ちが湧けば、怒らないですむかもしれないし。

星:冷静に考えると、日常で「ありがとう」と言えるタイミングはたくさんあります。まず、「すみません」を「ありがとう」に変えてみるといいです。私自身、「ありがとう」の効果はとても実感していて、経営者の方にも「ありがとう、ありがとう」と一日に数千回繰り返して口癖にするよう、アドバイスをしているほどです。

前野:それはすごい。三つ目は、「なんとかなる」因子です。これはもしかすると、日本人が一番ハードルが高いと感じるものかもしれませんね。

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