日本と韓国の関係がこじれている。経済や軍事分野にも影響が出て、関係悪化が止まらない。日本と韓国はどうして仲が悪いのだろうか。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」11月号に掲載された記事を紹介する。

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 最近、日本と韓国の関係が悪化していると聞くけれど、どうしてだろう。

 きっかけは日本の最高裁判所に当たる韓国の大法院が2018年秋、日本製鉄(旧新日鉄住金)と三菱重工業に対し、戦時中に朝鮮半島出身で日本本土の工場等で働いた元徴用工らに慰謝料の支払いを命じる判決を出したことだ。

 日本政府は1965年の日韓国交正常化に伴い締結された日韓請求権協定を破壊する判決だと反発。日本は協定に基づき、韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力金を供与しているし、協定には両国とそれぞれの国民間で「請求権」の問題を「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記されているからだ。

 しかし、韓国は、元徴用工らが求めたのは「反人道的な不法行為」に対する慰謝料で、協定の適用は受けないと主張。日本企業に被害が出ないよう求める日本の要請に応じていない。

 日韓関係が極度に悪化するなか、日本政府は7月、韓国向けの半導体素材3品目に対する輸出規制の強化を発表。8月には、日本政府が輸出手続きを簡略化できる優遇国「ホワイト国」のリストから韓国を外した。日本政府は公式には「国内的な措置で、韓国への報復ではない」と説明しているが、複数の政府関係者は「徴用工問題で日本の要請に応じない韓国への事実上の対抗措置」と証言している。

 一方、韓国は8月、日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を発表した。韓国政府は、日本による「ホワイト国」除外措置などで、日韓の安保協力に重大な変化があったことなどを理由として挙げた。

 だが、韓国内では「文在寅大統領が法務大臣に起用した側近を巡るスキャンダルから、国民の関心をそらすためだった」という批判が起きている(法相は10月に辞任)。

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牧野愛博
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