孔子はこのようにも言っています。
「人の己(おの)れを知らざるを患(うれ)えず、人を知らざるを患(うりょ)うるなり」(学而第一)
「人が自分のことをわかってくれないことを悩むのではない。自分が、人のことをわかってあげられていないことを悩むことこそが大切なのだ」という意味です。
これは人々がよりよく生きるための基本ともいえます。自分のことばかりを考えて行動すると、争いやトラブルが絶えなくなりますから、こうした深い心、考え方を息子さんの中に育むことが、最も重要ではないでしょうか。
もう一度言います。子育てにテレビは必要ありません。実際に、テレビなしで60年間過ごしてきて、まったく困ったことがない私が保証します。
【まとめ】
テレビの話題で付和雷同するくらいの人間関係はいつでも作れる。もっと深い心と考え方を息子の中に育もう
山口謠司(やまぐち・ようじ)/中国文献学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書や監修に『ステップアップ 0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など多数。2021年12月に監修を務めた『チコちゃんと学ぶ チコっと論語』(河出書房新社)が発売。母親向けの論語講座も。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族。
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