こうしたなか、韓国の文大統領は対話の路線を強調。南北首脳会談の実現や、アメリカとの対話の仲介役を買って出たのです。そして今年6月、シンガポールで米トランプ大統領と北朝鮮の金委員長の直接的な対話が実現しました。米朝首脳会談では、北朝鮮が朝鮮半島から核兵器の脅威をなくす「朝鮮半島の完全な非核化」とともに、米朝両国が朝鮮半島で、将来にわたって安定的な平和を築くことに取り組むことなどを共同声明として発表し、握手を交わしました。

　はたしてこの内容が本当に実現されるのか、今も交渉の真っただ中です。そして、北朝鮮との間に多くの課題を抱える日本は今後、この国とどのような関係を築いていくのか。政府の手腕が問われる局面を迎えています。

＜北朝鮮に取材に行ってきました＞
　首都平壌では、ここ1、2年で高層マンションやビルが増えたといいます。街ゆく人たちの多くがスマホを手にし、ゲームやカラオケなど、国内向けのアプリをダウンロードして使っています。
この20年間、経済成長を続けてきた北朝鮮ですが、国連が経済制裁を発動させたことで2017年、成長はマイナスに。ある女子学生は「生活のレベルを落とさなければならず、お買い物の楽しみが減ってさみしいです」と話していました。

【もっと知りたい！　朝鮮民主主義人民共和国】
●首都　平壌
●名物　平壌冷麺
●言語　朝鮮語
●リーダー　朝鮮労働党を率いる金一族
　1代目：金日成
　2代目：金正日
　3代目：金正恩
●日本から北朝鮮へ行くには中国・北京の北朝鮮大使館でビザ（入国査証）の取得が必要。主に中国を経由して飛行機や鉄道で入国できる。旅行会社を通じてツアーに申し込むのが一般的。

【メモ】
1945年のアジア・太平洋戦争終結まで、日本は朝鮮半島を植民地として統治していた時代があり、強制的に朝鮮の人々を日本に連れてきて働かせた歴史があります。いまだ北朝鮮内にいるといわれる拉致被害者の方々の帰国を求める日本政府に対し、北朝鮮政府は戦前の行いに対する謝罪と賠償を求めており、対立が続いています。近くて遠い国なのです。

【今月のポイント】
・北朝鮮は1948年建国の社会主義国で、金一族が最高指導者として国を治めている。
・今年4月に南北首脳会談、6月に米朝首脳会談が行われ、朝鮮半島の非核化や朝鮮戦争の終結に向けた宣言が出された。
・日本と北朝鮮との間には国交がなく、拉致被害者問題などのさまざまな課題がある。

※月刊ジュニアエラ　2018年11月号より

ジュニアエラ 2018年 11 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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