福田:これまでのような「学校に行っていれば◯、いけなければ×」と言う固定的な価値観では、ダメということですよね。「学校に行けなくても◯」。子どもが不登校になった場合に、そういう柔軟な価値観を親が持てるかどうかは、非常に重要だと考えています。
亀田:同感です。やみくもに学校に行かせようとだけするのではなく、お子さんの様子をよく見ることが大事です。学校に行けそうなら登校を促してもよいでしょうし、どうしても難しそうなら休むことも認めてみる。「学校がダメなら、フリースクールに」と、すぐにどこか別の場所に通わせようとするのも実際には難しいでしょう。学校に行かないというのは「休みが必要」というメッセージですから。次のステップに進むのには時間が必要です。そもそも子ども自身、なぜ自分が学校に行けないのか、わかっていないことも多いのです。
福田:保護者の方は「なぜ学校に行けなくなったのだろう?」と不登校の原因を知りたがると思いますが。
亀田:一見、友達とのトラブルが原因のように見えても、それは単に「きっかけ」にすぎないかもしれません。「原因を取り除けば、また学校に行くはず」と思いたいお気持ちはわかるのですが、原因追究にあまり意味はありません。
福田:確かに原因がわかることの方が少ないですね。
亀田:まずは「今、学校に行けない」という「今」を認めることです。「学校に行くか、行かないか」だけに注目していると、そのお子さんの前に進もうとしている変化を見逃してしまいます。小さな変化を見つけて、認めていくことが大切です。ただ、保護者の方の不安な気持ちはとてもよくわかります。
福田:保護者の方は自分だけ問題を抱えないほうがいいですね。
亀田:そうです。専門機関とつながっておくことも大切です。市区町村、県などの教育センターや、市区町村の子ども福祉の窓口、児童相談所などです。このような公的な機関にまずは相談をしてください。相談窓口はネットで検索すればすぐに見つかるでしょう。ただし、「すぐに信頼できる相談先が見つかるとは限らない」、また「学校に行けるようになる方法は教えてくれない」と思っていたほうがいいでしょう。
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