こうざい・ひろあき/1988年、千葉県出身。先天性両下肢欠損(膝上)。12歳で車いすバスケットに出合う。高校1年で23歳以下の日本代表に入る。高校卒業後は同競技の名門であるイリノイ大学へ。全米大学選手権優勝のほか、全米大学リーグのシーズンMVPを2年連続で受賞。オールラウンドな能力を認められ2013年からドイツクラブとプロ契約。パラリンピックは北京7位、ロンドン9位、リオ9位(写真/伊ケ崎忍)
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こうざい・ひろあき/1988年、千葉県出身。先天性両下肢欠損(膝上)。12歳で車いすバスケットに出合う。高校1年で23歳以下の日本代表に入る。高校卒業後は同競技の名門であるイリノイ大学へ。全米大学選手権優勝のほか、全米大学リーグのシーズンMVPを2年連続で受賞。オールラウンドな能力を認められ2013年からドイツクラブとプロ契約。パラリンピックは北京7位、ロンドン9位、リオ9位(写真/伊ケ崎忍)

 東京パラリンピックは8月26日、車いすバスケットボールの男子が始まり、1次リーグA組の日本はコロンビアと対戦する。AERA2019年12月9日号で力強く語ったエース・香西宏昭のインタビューを紹介する(肩書きや年齢は当時)。

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 車いすバスケットボール男子日本代表のエース香西宏昭は、目を輝かせて口を開いた。

「(プレーの)スピードは、今までの人生の中で一番。アジリティーも。動く速さが前より上がっています」

 アジリティーとは敏捷性。右に左にフェイントをかける速さや、進む方向を瞬時に変えるチェアワークなどが、以前より素早くできるようになった自覚がある。健常者のアスリートよりも選手寿命が比較的長いとされるパラスポーツにあっても、31歳という年齢は決して若くはない。

 過去最高の体を作り上げるため、今季は6シーズンを過ごしたドイツから日本に戦いの場を移した。代表でも所属チームでもポイントゲッター。高さのある欧州のリーグでプレーすることはスキルアップにメリットはある。

「でも、それ以上に必要だと感じたのはフィジカルの向上なんです。ドイツにいれば試合が続くので、心肺機能や体力向上のトレーニングをやり切れない。日本ではその時間を設けられるので、トレーナーさんとやってきた成果が出てきている」

 フィジカルにこだわるのは、日本代表がスピード勝負の平面のバスケットでメダルを目指しているから。ディフェンスで40分間オールコートのプレスを続けられる体力とスピードをつけなくてはいけない。トルコ、イランといった強豪国に勝利し、メダルの端っこも見えてきた。

 自身のプレーヤーとしてのキャリアより、パラリンピックにこだわる。

 (ライター・島沢優子)

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 ■車いすバスケットボール

 障害の程度が重い人から1.0~4.5点(0.5点きざみ)と持ち点が与えられ、同時にプレーする5人の合計を14.0点以下にしなくてはいけない。リングの高さ、ボールやコートのサイズは一般競技と同じだが、2プッシュ以内につき1ドリブルをしなければトラベリング、ダブルドリブルがないなど独自のルールがある。

※AERA2019年12月9日号に掲載