内部告発したフランシス・ホーゲンさん。「フェイスブック幹部は重要な情報を国民から隠している」と強調した(gettyimages)
内部告発したフランシス・ホーゲンさん。「フェイスブック幹部は重要な情報を国民から隠している」と強調した(gettyimages)

 リチャード・ブルーメンソール委員長(民主党)も、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の議会証言を要請すると表明。

「同社は、自分たちの製品が、子どもの依存症を引き起こし、毒性もあることを認識している。(中略)同社は道徳的に破綻している」

 との見解を示した。

■チームは突然解散

 バイデン大統領の民主党政権の下、激しく対立し協調路線を拒否している共和党議員も、同調した。フェイスブックをはじめソーシャルメディアに対する規制を強化する機運は一気に高まった。

 これに対し、フェイスブックは声明で、告発内容に反論した。

「10代の若者が、困難な瞬間や問題に悩んでいる際、インスタグラムを使うことで助けられると感じていることが実証された」(声明)

「当社が見てきた研究内容は、他者とつながるためのソーシャルアプリの利用が、心の健康面にプラスの効果をもたらし得るというものだ」(ザッカーバーグCEO)

 これらは、ホーゲンさんの告発内容と真逆で、問題を小さく見せようとしているようにみえる。

 ホーゲンさんが、内部告発を決意した背景は何か。

 彼女は、フェイスブックを使って海外政府などが一国の選挙に介入するのを防ぐ対策チームのマネジャーとして、ヘッドハントされた。16年の大統領選挙の際、トランプ共和党候補(当時)に有利になるように、ロシア政府機関が、ハッカーを使ってサイバー攻撃を仕掛けたり、ソーシャルメディアにフェイクニュースを流したりしたことは、大問題になった。選挙という民主主義の根幹を揺るがす問題だったためだ。

 ところが、WSJによると、ホーゲンさんのチームは突然解散され、同社の決断に疑問を感じたという。また、強制売春や臓器売買など犯罪につながる投稿を検知するチームも、わずか数人という体制だったという。

 ホーゲンさんは、内部文書のコピーを始め、非営利法人の「ウィッスルブロワー(内部告発者)・エイド」の弁護士に連絡を取った。文書はWSJだけでなく、米証券取引委員会(SEC)にも持ち込まれている。

■セレブには優遇措置

「破滅的」なのは、子どもと民主主義に対してだけではない。WSJによると、世界600万人ものセレブが、フェイスブックのルールに反した投稿をしても、それを放置する優遇措置さえあった。

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