コロナ禍で家族みんなが家で過ごすことも多いでしょう。そんなときだからこそ、なおさら子どもたちにお手伝いをしてもらいたいものです。子どもが手伝うことで、家族全員にいいことが起こると、専門家は言います。『AERA with Kids夏号』では、そんなお手伝いの効能について聞きました。
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 自尊感情を育てる、社会性を伸ばす……お手伝いにはさまざまな効果があるといわれます。「学習面にもメリットがあります」と話すのは、中学受験専門塾「アテナ進学ゼミ」主宰の宮本毅先生です。

「お手伝いを任されると、子どもは面倒なのでさっさと済ませるために工夫をするようになりますよね。食器洗いなら、まとめて洗ってからすすいだほうがラクだな、など。この“工夫する”精神が重要で、勉強や生活などで効果を発揮するのです」(宮本先生)

 算数なら、より効率的に解く方法を考えたり、理科や社会でも、「この情報とこの情報は似ているから、まとめて覚えよう」と、効果的な暗記方法を編み出したり。

「言われたことを漫然と受け入れるのではなく、自ら考えて学ぶようになります。さらに、買い物でスーパーに行けば社会科の勉強に、料理で野菜を切れば、理科や算数の図形の勉強につながります。実際に、ピーマンを縦に切ったときの断面図を描けという問題が中学入試で出たこともあります」

 良好な親子関係を築きやすい点も、お手伝いをさせることの大きな意味だと宮本先生。

「“お母さんやお父さんって、こんなことを毎日やってくれているんだ”と、子どもは親を見直すようになります。親も手伝ってもらったら、自然に感謝の言葉が出てくるはずです」

 いい関係を築くために、最初は「きちんとできたか」ではなく、ほめてノセてあげましょう。感謝の気持ちも忘れずに!

 お手伝いのメリットを具体的に言うと、「学習に直結する力を養う」ことが挙げられます。いつのまにか、大人に「やってもらう」ことが当たり前になっている現代の子どもたち。お手伝いをすることで、世の中の複雑で大変なシステムを想像したり、垣間見ることができます。さらに、面倒なお手伝いをいかに短時間で仕上げるか。子どもは工夫をし、試行錯誤をするようになります。これが、生活、そして下記のような学習面にも大きく影響してくるのです。

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三宅智佳
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